かばうという被害

怖い上司がいるんだね。と言われることがある。

直属の上司が周りからは、怖そうに見えるらしい。

あなたは気が弱いし、優しいから大変そう と言われる。

 

私はその人を、怖いとは思っていない。

むしろ、私と同じ位弱くて、感情が抑えられない人が

何年も仕事を続けていく為に

身に付けた喋り方とか、態度とかが

そう見せてしまっているとわかっている。

本当は優しい人で、

私と同じように

死にたくなったりする。

 

その人は私が新人として入ったときすでに、

周りからは怖い人と思われていた。

(そして私をそこに配属した人事も、

「弱そうなお前を鍛えてくれそうだから」みたいなことを

言っていた)

声や態度が厳しいのは何とも思わなかったけど

2人になったときに

心底つまらなそうにするその人が

怖かった。

本当は、つまらなそうにしているんじゃなくて、

その人はもうすでに病気になっていた。

何もかもがしんどかったらしい。

死のうとしていたらしい。

 

自分の身を守ることで必死なその人だったから、

これ以上自分に被害が及ばないよう

私が悪いというように仕立て上げて大抵の仕事をした。

案の定その人との仕事はうまくいかなかった。

別の人とやる仕事は上手くいった。

だから駄目人間と直属の上司から思われているのに

他部署からの評価が高いというよく分からない状況になった。

 

その人は半年間、休職した。

その間私は自由だった。

そう思う自分に罪を感じた。

 

自分に似ているから、その人が苦しんでいることはよく分かる。

だから優しくしたくて、

その人に合わせて、今も笑顔で会話をする。

そうするとやはり、自分が抑圧されていると感じる。

 

同じベクトルの弱さであれば良かったけど

強がっている弱者をかばうというのは抑圧される弱者になるということだな。

つまんない人間

社会に出てから

つまんない人間になっていっている、と思う。

昔は面白かったのかと言われるとわからない。

でも、もう少し、自分があったかもなあと思う。

なにかやりたい、とか、

死んでもなにかしたくない、とか

あった気がするから。

 

最近はちゃんと言葉が出てこない。

そのかわり上手な愛想笑いが自然に出てくる。

笑顔で挨拶が上手だ。

相手に関する、ちょっとした話題

(本当は、何にも興味ない)

も、すぐにでてくる。

簡単な会話は上手だ。

でも、それに返されても、本当は興味ないから、

深い内容は答えられない。

ましてや、自分の気持ちに関することなんか、言わない。

「私だったら無理」

「いいな、うらやましい」

とか、でてこない。

へー。いいね、すごいですね。

そうなんだー大変ですね。とか、返しているようで、

何にも無い内容ばかりです。

(うそ笑いと、うそ質問に、気付く人は私をつまらなそうに見る、でも

大抵の人は気付かず、私のうそに喜んでいるから、

社会生活を送れてる。)

 

自分を分析する講座みたいなものに出た。

マインドマップに殴り書きした、自分の中身に関する内容を

講師にひとつひとつ分析するように話しかけられても、

その内容に興味がないなあと心底思った。

へー。そうですねー。そういうことですかね。

自分自身に関する質問なのに、愛想笑いしか出てこなかった。

 

他人に興味が無くなるだけじゃなくて、

自分に興味もなくなってしまったのか。

自分の感情が読み取れなくなったら、

言葉が出てこなくなるのも当然で、

愛想笑いとか

その場しのぎの会話とか

上手になるばかりなんだな。

 

何かを面白いと思う自分を、嘘つきだと感じるときがある、

自分のことをもう一度ちゃんと信じてあげないと

かわいそうだ。

 

わたしはつまんない人間じゃなくて、

かわいそうな人間だった。